仕事のスケジュール管理がうまくできない!というのは、働いている方なら誰でも一度は頭を悩ませるところではないでしょうか?
わたし自身、スケジュール管理が苦手でしたが、20代後半のころに、スケジュール管理のコツと段取りの重要さをその当時の上司A先輩に叩き込まれました。
そのころ叩き込まれたスケジュール管理の方法やコツは、今でも私の中で生きており、お陰で私は周りからみるとかなり余裕を持って仕事しているように思われているようです。(実際はアワアワ言いながら仕事しているのですが(笑))
これからA先輩に叩き込まれたスケジュール管理の方法とコツをその場を振り返りながら説明していきますネ。
お前は自分自身の仕事をコントロール出来ていない!
(そんなこと言われても仕事量が多すぎるんだよ・・)
ダマされたと思って実践してみろ・・・
今はこんな偉そうに説教してるけど、オレもこのやり方を先輩に教わって、自分のものにしたからこんなに余裕があるんだ!
お手軽な方法も紹介しますので、スケジュール管理が苦手な方の参考になってくれれば幸いです。
仕事のスケジュール管理はなかなか出来ない?

普通のサラリーマンが、何か一つの仕事だけを、集中して出来るというのは、非常に稀なケースだと思います。
ほとんどの方は、いくつかの仕事を平行にこなしていくのが普通ではないでしょうか。
例えば、ある一日を例にとって考えてみると、提案書を作成しながら、見積りも作成し、お客様とアポを取って打ち合わせにもいく・・・といった具合で一日が流れていきます。
もし平行して行っている仕事のうち一つにでも予想外に困難なものがあったら?
そこから全体のスケジュールが崩れはじめ、時間はどんどん奪われていきます。
時間が奪われるだけならまだしも、最悪は納期遅れなどにより、お客様や周りの人に多大な迷惑を掛けてしまいます。
とは言っても、実際仕事を始めると、ついつい今やっている仕事を片付けてから次の仕事に・・というのが人間の心理です。
実際、私も過去はそうでした。
そのせいで軽く見ていた仕事に思わぬボリュームがあり、徹夜して仕上げたものの内容がボロボロというのがよくありました。
スケジュール管理の方法|アローダイアグラムとは?
仕事自体は、頭の中だけです。
そして納期が早いものから順に、片付けていってます
これからスケジューリングのやり方と重要さを教えてやるから、よ~く覚えて実践するように!
詳しい中身は知りません!( ー`дー´)キリッ
そこで先輩は、かなりあきれながらもアローダイアグラムについて説明してくれました。
実は、私の働いていた業界でアローダイアグラムといえば、スケジュール管理の基本中の基本だったのです。
確かに私も多少は知っていましたが、しょせん絵に描いた餅くらいにしか考えていませんでした。
これからアローダイアグラムを利用したスケジュール管理について、先輩に教えて貰った内容プラス私が経験で得た内容をプラスして説明していきます。
ただ多分に自己流なところがあり、厳密なアローダイアグラムの定義とは違う部分もあると思いますので、そのあたりはご容赦ください。
アローダイアグラム(小日程編)
まず、1つの仕事・・・・例えば、見積りを作ることを例にとった場合でアローダイアグラムを説明していきます。
見積りを作るという作業を大雑把に分割するとこんな作業に分けられます。
- 見積りに必要な構成(部品など)を調べ、構成や付帯作業をまとめる
- 必要な付帯作業、部品の値段を調べる
- 粗利等、利益面・競合性について検証する
- 見積り書をワープロ打ちする
ひとくちに見積りを作ると言っても、分けてみると細かい作業の集まりだということが良く分かります。
実は、この細かい作業の一つ一つがアローダイアグラムでいうところの小日程と呼ばれるものになります。
では、実際にこの小日程をアローダイアグラム(線表)に記述してみます。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 |
1/1 1/7 ●---------● 項番1の作業 1/8 1/10 ●------------● 項番2の作業 1/10 1/11 ●------------● 項番3の作業 1/11 1/14 ●------------● 項番4の作業 |
こうして、図に整理してみるだけで、随分仕事が整理された気になっているのは私だけでしょうか?
少なくとも見積りを作るという作業は、順調に進んでも1/1~1/14まではかかるということが明らかになりました。
平行して出来る部分もあるだろうと言われそうですが、そこについては、後ほど説明しますのでご心配なく。
まずは、小日程表のイメージを良く掴んでください。次は、この小日程をベースにした、中日程の考え方を説明していきます。
アローダイアグラム(中日程編)

中日程とは、先程作成した小日程をもっと大きな単位でまとめたもの・・つまり先程の例でいうと「見積りを作成する」ぐらいで一つのスケジュール単位になります。
- 見積りに必要な構成(部品など)を調べ、構成や付帯作業をまとめる
- 必要な付帯作業、部品の値段を調べる
- 粗利等、利益面・競合性について検証する
- 見積り書をワープロ打ちする
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 |
1/1 1/7 ●---------● |項番1の作業 | 1/8 1/10 | ●------------● | 項番2の作業 | 1/10 1/11 | ●------------● | 項番3の作業 | 1/11 1/14 | ●------------● | 項番4の作業 | | | |<=====ここまでの範囲が中日程の「見積り作成」=======>| |
1 2 3 4 5 |
1/1 1/14 ●--------------------------------------------------------● 見積り作成 |
実際、個人レベルの仕事内容でのスケジュール管理には、この中日程があれば十分です。
例えば「見積り作成」の他に「契約書作成」「会議資料作成」という作業があったとしたら中日程のアローダイアグラムはこのようになります。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 |
1/1 1/14 ●-------------------● 見積り作成 1/7 1/16 ●------------● 契約書作成 1/16 1/20 ●----------● 会議資料作成 | | | 1/21 ◆会議 |
どうですか?随分個人のスケジュールを管理してるな!って感じになってきたと思います。
また線表中で「会議資料作成」と「会議」を|(線)でつないでいます。
このように、どちらか片方が遅れると、他方にまで影響を及ぼすような要因がある場合は、|(線)で示すことにより、注意を促します。
この他、この中日程レベルの線を組み合わせると「大日程」とよばれるスケジュールを引くことが出来るのですが、これは、個人のスケジュール管理には向かないのでここでは説明しませんね。
このように、中日程を作ることで、個人レベルのスケジュールなら十分管理出来ます。
また、形は違えど、これと同じような線表を作成してスケジュール管理している人は結構多いと思います。
しかし、ここで重要なのは、小日程を作成せずに作った中日程スケジュールには、全く意味がないということです。
仕事をするに当り、小日程レベルの検討を実施しないまま、中日程だけを作成するのは、一見手順を省略して効率が良さそうに思えますが、実は大変効率が悪く・危険なスケジュールの立て方をしていることになります。
なぜそうなるのか?順を追って説明していきます
アローダイアグラムを使ったスケジュール管理で小日程は超重要

なぜ小日程が重要になるのか、それは、小日程を考える際、一つの作業を細かく分けて整理するその手順が重要だからです。
細かく分けることによってリスク要因と、効率向上のための要因が見えてきます。
小日程を作成した時点で、この仕事に必要な項目の三分の一程度の内容を検討したのと同じと言っても過言ではありません。
これを先程説明した小日程を例に、考えてみましょう。
1.見積りに必要な構成(部品など)を調べ構成や付帯作業をまとめる
自分ひとりの力で構成出来るものか、専門部署の助言は必要ないか
既に似たような見積りが、過去に作成されていないか
2.必要な付帯作業、部品の値段を調べる
値段はすぐ調査出来るか?問い合わせ等必要ないか?
構成さえはっきりしていれば、自分以外の人間でも調査可能ではないか
3.粗利等、利益面・競合性について検証する
自分の意思だけで決定出来る額になりそうか?会議等の事前の決裁は不要か?
特に思い当たらない
4.見積り書をワープロ打ちする
特に思い当たらない
見積りの素案が完成したらワープロ清書は人に頼めないか?
小日程を考えることで見えてくるもの
こうやって整理してみると、リスク要因は「自分だけで解決出来ない=他人の力が必要になる」ものが多いことが分かります。
問い合わせにしろ決裁にしろ、他人にお願いする仕事は、自分がどんなに急いでいても、他人のスケジュールに左右されてしまいます。
これに対して、効率向上要因もやはり、「他人もしくは、過去の資産をうまく利用する」という部分が大部分を占めているのがわかります。
ということは、他人に依頼すべき物があれば、作業開始時に全て依頼しておくことで、リスクを最大限回避することが可能になります。
また、他人がやってくれる作業と平行して、自分は自分の作業をやればいいのですから、効率の向上にも繋がります。
特に、作業の後半に発生するような単純作業は、まかせられる人に早めに頼んでおきましょう。会社内の仕事にはそれぞれ役割があります。そこを良く考えて遠慮せずに頼みましょう。
ただし、こうやって仕事を頼める人が、仕事に手こずっている時は、親身になって助けてあげなければなりません。まさにギブ&テイクです。
今挙げた点を考慮して、見積りを作成する小日程を考え直しみると以下のようになります。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 |
1/1 1/3 1/7 項番1の作業 ●------●---------● 問合せ 回答 作成 | | 1/3 1/5 1/9 項番2の作業 ●------●---------● 問合せ 回答 作成 | | | 1/10 1/12 項番3の作業 ●-------● 稟議 修正 | | 1/12 1/14 項番4の作業 ●------------● ワープロ依頼 完成・チェック |
最終的に完成する時期は変わりませんが、この中で自分自身で作業しなければならない時間は、大幅に短縮されました。
つまり、その間に他の仕事を平行して行える時間が大幅に増えたということです
小日程を作成することにより、作業項目、リスク要因の洗い出しが進み、結果としてリスク回避、効率向上に多大な効果を見込めるようになることがよく分かってもらえると思います。
ただ・・・小日程はメンドクサイ?
でもいちいちこの図を描くのはちょっと面倒臭いですね
(怒られるかな?ドキドキ)
いいか!仕事の出来る人っていうのは良い意味の面倒臭がりであることが大切なんだ
良い意味の面倒臭がり屋は、そういう単純作業やあまり意味のない仕事をいかに効率よく楽にやるかを常に考える人なんだよ
ちょっと本題から外れますが、効率良い仕事を目指すなら、この良い意味の面倒臭がりを目指すことが、とっても重要です。
これから良い意味の面倒臭がりだったA先輩が考案した簡易アローダイアグラムでのスケジュール管理について説明していきます。
簡易アローダイアグラムってどんなもの?

皆さんフセン紙ってご存知ですか?書いたメモを色々な所にすぐ貼り付けることが出来るアレです。
これから、説明する簡易アローダイアグラムでは、このフセン紙が大活躍します。まずは、ちょっと大きめのフセン紙を用意しておきましょう
では、今まで何度か登場した見積り作成を例にとって、この簡易アローダイアグラムを利用してのスケジュール管理について説明していきたいと思います。
まず、見積り作成という作業が発生してたら、頭の中で作業を細かく分割し(この作業だけは、簡略化出来ません!)フセン紙に次のように記述します。
┠構成調査 1/7
|┗○○問合せ 1/3
┠価格調査 1/9
|┗○○問合せ 1/5
┠稟議提出 1/10
|┗修正 1/12
┗ワープロ依頼 1/12
┗チェック 1/14
あとは、これを目に付く所にぺったんと貼り付けておくだけです。
そして、既に作業に着手している小項目については、マーカーで色を塗り、作業が終了した小項目は、二重線で消していきます。
全ての小項目を二重線で消し終わると、作業が終了したことになり、めでたくこの付箋紙は、ゴミ箱行きとなるわけです。
この方法を採用するメリットを挙げるとこんなことが挙げられます。
- 正式な小日程に比べ作成がラク
- 中日程を作成しなくとも、貼り付けてある付箋紙を見るだけで、全体のスケジュールを知ることが出来る
- 小項目に二重線を付けるのには、一種の達成感があり、二重線を付けたいがために、出来る作業から平行して行う良い癖が付く
また最大のデメリットとしては、貼り付けておいた付箋紙がどこかへ行ってしまうという点があります。
付箋紙を貼り付ける場所も、少し工夫が必要ですね。(私は、パソコンディスプレイの横に貼ってますが・・)
スケジュール管理・・・やってみることが肝心
まずはやってみる!そして続けることが大切だ!
そして続けてみることによって得られることは沢山ある
この言葉は、今でも非常に心に残っています。それは、自分が身を持って体験したからです。
A先輩に教えていただいたスケジュール管理法を実践するのは、正直言って面倒臭いと思っていました。
ですが、しぶしぶ実践(隣にはA先輩が座っている訳ですし・・やらない訳には・・)して行くうちに、時間的余裕が出来たのは勿論のこと、物事を論理的に考える力がすごく伸びたのを感じました。
それまで私は、会議でも客先でも、自分が伝えたいことを短時間にまとめて伝えることが苦手でした。
この分野が「えっ!こんなにスムーズにいっっちゃうの?」という位、スムーズにこなせるようになってきたのです。
これが、A先輩のスケジュール管理法の効用なのか、どうかは良く分かりませんが、少なくとも私は、スケジュール管理法を実践したお陰だと信じています。
皆が皆同じ様な効果を実感出来るかは、保証しませんが、「まずはやってみる!」そしてしばらく続けてみるという気持ちでチャレンジしてみてください。